監修:高知大学医学部 老年病・循環器内科学 教授 北岡裕章 先生

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キーワードはアルファベット順、あいうえお順、数字順に並んでいます

トランスサイレチン関連

L55P

TTR四量体の解離速度が速く、アミロイド形成を促進するTTRの変異体です。野生型のTTRを基準として、L55Pは10倍TTR四量体の解離速度が速い、つまり不安定化すると報告されています。

Hammarström P, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2002; 99(Suppl 4): 16427-16432.

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T119M

TTR四量体の解離速度が遅く、アミロイド形成に抑制的に働くTTRの変異体です。野生型のTTRを基準として、TTR四量体の解離速度が37倍遅い、つまり安定化すると報告されています。

Hammarström P, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2002; 99(Suppl 4): 16427-16432.

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TTR(transthyretin)

トランスサイレチン(TTR)、別名プレアルブミンとしても知られています。甲状腺ホルモンであるサイロキシンや、ビタミンAの1種として知られるレチノールの輸送、神経の保護、記憶や認知機能維持、脳虚血からの保護といった人体にとって重要な役割を果たす四量体のタンパク質です1,2)

1)Liz MA, et al. Neurol Ther. 2020; 9(2): 395-402.
2)Vieira M, Saraiva MJ. Biomol Concepts. 2014; 5(1): 45-54.

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V122I

TTR四量体の解離速度が速く、アミロイド形成を促進するTTRの変異体です。野生型のTTRを基準として、V122Iは2倍TTR四量体の解離速度が早い、つまり不安定化すると報告されています。

Hammarström P, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2002; 99(Suppl 4): 16427-16432.

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ATTR-CM(transthyretin amyloid cardiomyopathy):トランスサイレチン型心アミロイドーシス

TTRを前駆タンパク質とする心アミロイドーシスがトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)です1)。加齢や遺伝子変異によってTTR四量体が不安定化することが、ATTR-CM発症の根本原因です2,3)
進行性・致死性の疾患であり4)、未治療の場合、全生存期間の中央値は3.8年と予後不良であることが報告されています5)。また、ATTR-CM患者の多くの方が併発するとされる心不全では、入院回数の増加に伴い、予後不良となることが報告されています6)。よって、ATTR-CMでは入院の抑制を目指した治療戦略が求められています。

1)日本循環器学会(編). 2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン. p.9,10. https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf(2024年10月参照)
2)Kittleson MM, et al. Circulation. 2020; 142(1): e7-e22.
3)Ruberg FL, et al. J Am Coll Cardiol. 2019; 73(22): 2872-2891.
4)Yamamato H, Yokochi T. ESC Heart Fail. 2019; 6(6): 1128-1139.
5)Ochi Y, et al. Circ Rep. 2020; 2(6): 314-321.
6)Setoguchi S, et al. Am Heart J. 2007; 154(2): 260-266.

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ATTRvアミロイドーシス

遺伝性ATTR(ATTRv、 “v”=variant)アミロイドーシスは、主にTTR遺伝子の変異を原因としてTTR四量体を不安定化し、アミロイドの形成・沈着を来したアミロイドーシスです。

Kittleson MM, et al. Circulation. 2020; 142(1): e7-e22.

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ATTRwtアミロイドーシス

野生型ATTR(ATTRwt、 "wt"=wild-type)アミロイドーシスは、主に加齢を原因としてTTR四量体が不安定化し、アミロイドの形成・沈着を来したアミロイドーシスです。

Kittleson MM, et al. Circulation. 2020; 142(1): e7-e22.

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Kumamoto Criteria

高齢者のATTR-CMを診断する際、99mTcピロリン酸シンチグラフィを実施する対象を効率的に選択するための基準です。低侵襲で広く使用されている検査方法を用います。

Marume K, et al. Circ J. 2019; 83(8): 1698-1708.

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Red-Flag

日本語で「危険信号」を意味し、疾患を疑うために有用な症状のことを指します1)。ATTRアミロイドーシスにおいて、本邦ではATTRwt-CM2)とATTRv3)で別々のRed-Flagが用いられています。

1)Garcia-Pavia P, et al. Eur Heart J. 2021; 42(16): 1554-1568.
[COI:著者のなかにはアレクシオンファーマ合同会社及びEidos Therapeutics,Inc.よりコンサルティング料等を受託している者が含まれる]
2)Inomata T, et al. ESC Heart Fail. 2021; 8(4): 2647-2659.
3)Sekijima Y, et al. Orphanet J Rare Dis. 2018; 13(1): 6.

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心アミロイドーシス

アミロイドと呼ばれる異常タンパク質が臓器に沈着することで引き起こされる機能障害がアミロイドーシスであり、障害部位が心臓である場合を特に「心アミロイドーシス」と呼びます。

日本循環器学会(編). 2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン. p.9,10. https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf(2024年10月参照)

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KCCQ(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire):カンザスシティ心筋症質問票

身体機能、症状(頻度、重症度、安定性)、社会的機能、自己効力感、及びQOLを定量化する23項目からなる自記式質問票で、ATTR-CMの臨床試験でも評価項目として利用されています。合計スコアは0~100点で、スコアが高いほど健康状態が良好であることを示します。

Lane T, et al. Circulation. 2019; 140(1): 16-26.

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NT-proBNP

NT-proBNPは、ストレスや圧力過負荷に反応して心臓から分泌され、心不全や心機能障害の悪化の指標となります。ATTR-CMにおいても、重要な指標の一つとして利用されています。

日本循環器学会(編). 2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン. P.25. https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf(2024年10月参照)

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血清TTR

トランスサイレチン(TTR)は、ATTR-CMの原因タンパク質であり、TTR四量体が単量体へ解離し、アミロイドを形成することでATTR-CMを発症します1)。血清TTRレベルは、心不全の予防や生存期間の延長に関連する指標となる可能性があります2)

1)日本循環器学会(編). 2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン. P.12-14. https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf(2024年10月参照)
2)Hanson JLS, et al. Circ Heart Fail. 2018; 11(2): e004000.

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心筋トロポニン

心筋トロポニンの上昇は急性心筋梗塞の診断に用いられますが、心アミロイドーシスでも心筋トロポニンが持続的に上昇していることが報告され、Red-Flagの1つとして挙げられています。

日本循環器学会(編). 2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン. P.25. https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf(2024年10月参照)

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他の心疾患との鑑別

心不全1,2)や虚血性心疾患3)といった心疾患患者のなかに、心アミロイドーシスを原因とする患者が一定数存在することを示唆する研究がいくつか発表されています。具体的には、HFpEF患者の13~14.2%1,2)(一部海外データを含む)、重度の大動脈弁狭窄症患者の16%3)(海外データ)でシンチグラフィ陽性であったとする報告などです。
アミロイド由来の心不全は心筋リモデリングよりも、主に間質へのアミロイドの浸潤によって引き起こされるため、心アミロイドーシスが関連する心疾患では、予後の悪化や、通常の治療が奏功しない可能性が報告されています4)。そのため、他の心疾患との鑑別が非常に重要となります。

1)González-López E, et al. Eur Heart J. 2015; 36(38): 2585-94.
2)Naito T, et al. ESC Heart Fail. 2023; 10(3): 1896–1906.
3)CastañoA, et al. Eur Heart J. 2017; 38(38): 2879-2887.
4)Grogan M, Dispenzieri A. Heart Fail Rev. 2015; 20(2): 155-162.

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6MWT(six-minute walk test):6分間歩行テスト

2002年に米国胸部医学会(American Thoracic Society; ATS)によってガイドラインが発表された、運動器具や技術者の高度な訓練を必要としない、実用的な簡易検査でATTR-CMの臨床試験でも評価項目として利用されています。

ATS Committee on Proficiency Standards for Clinical Pulmonary Function Laboratories. J Respir Crit Care Med. 2002; 166(1): 111-117.

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99mTcピロリン酸シンチグラフィ

99mTcピロリン酸を使用した骨シンチグラフィで、ATTR-CMに対する高い診断能を有しているため、陽性の場合、アミロイドーシスが疑われます。

日本循環器学会(編). 2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン. P.36,49. https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf(2024年10月確認)

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99mTc-HMDPシンチグラフィ

99mTcピロリン酸とは別の骨シンチグラフィのトレーサーである99mTc-hydroxymethylene diphosphonate(99mTc-HMDP)を用いたシンチグラフィで、99mTcピロリン酸と同等の診断能を有するとされます1)。2022年2月28日より、心アミロイドーシスに対する保険診療を認める旨の通知が発出されました2)

1)日本循環器学会(編). 2020年版心アミロイドーシス診療ガイドライン. p.37.
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf(2024年10月参照)
2)厚生労働省. 保医発0228第1号 令和4年2月28日 医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて.
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/iryo_hoken/santei/000214449.pdf(2024年10月参照)