バイオマーカーとしての血清TTR
監修:高知大学医学部 老年病・循環器内科学 教授 北岡裕章 先生
Hanson JLS, et al. Circ Heart Fail. 2018; 11(2): e004000.
ATTRwt(野生型ATTR)に有効な疾患特異的バイオマーカーがなく、診断やモニタリングが困難であるため、血清TTRレベルの予後マーカー及び予後予測因子としての使用について検討した。
生検によってATTRwtと診断された患者において、ベースラインのTTR閾値(18mg/dL)によって層別化し、生存率を比較したところ、ベースラインの血清TTR低値と生存期間の短縮の関連が認められた。また、治療群のバイオマーカーを追跡した縦断的解析の結果から血清TTR低値と心機能の悪化との関連が認められた。これらから、血清TTRレベルがATTRwtにおいて有用な予後マーカー・転帰の予測因子である可能性が示唆されている。
Greve AM, et al. JAMA Cardiol. 2021; 6(3): 258-266.
2つのコホート研究に含まれたデンマークの一般母集団16,967例を対象に、全国市民登録システムを使用して自記式質問票、身体検査、及び血液検査からデータを取得した。
血漿TTRレベルによって低値群、中間群、高値群(それぞれ≦5パーセンタイル、>5~95パーセンタイル、>95パーセンタイル)に層別化された。また、血漿TTRレベルに最も関連するベースライン特性は95%CI正規化回帰係数によって特定され、ベースラインの血漿TTRレベルによる心不全のハザード比はCox回帰によって計算した。また、競合イベントとして全死因死亡率を使用し、ノンパラメトリックなAalen-Johansen推定量を使用して、血液検査からの経過年数の関数として心不全の絶対確率を計算した。
血漿TTR低値群、中間群、高値群で比較したところ、低値群では他2群より心不全の発症リスクが有意に高いことが報告されたことから(p
<0.001、Gray検定、海外データ)、TTR四量体の不安定性の指標としての血漿TTRレベル低値と心不全発症との間に潜在的・機序的な関連性があることが示唆されている。